ダイエットの大敵!ニセ食欲なんてわかなければいいのに
ご飯を食べたのに、なぜか沸く食欲。とても不思議ですよね。食事は人が生きていくうえで必要な栄養素を摂取するための行動。食事である程度の栄養素を満たせられれば食欲は抑えらるはずです。
野生の動物を見ると、人間のように余計におおく食べ物を食べるという事をほとんどしません。まあ、野生の動物は人間のように手軽に食べ物をありつけるわけではなく、なかなか食べ物にありつけないことの方が多いので食欲がわいたとしてもすぐに食欲を満たそうとすること自体がありえないわけですが。
お腹がすいてないのに沸く「ニセ食欲」は、体脂肪を気にする人にとってついて回る悩みの1つ。なぜ「ニセ食欲」はわくのでしょうか。
そもそも食欲とは?
そもそも食欲とは、脳がエネルギー摂取が必要だと感じた時に「食事をしろ」と信号を出したときに沸いてきます。
専門的な話をすると、脳には摂食中枢と満腹中枢という食欲をコントロールする機関が2つ存在します。体のエネルギー源となる胃からグレリンという物質が摂食中枢に送られ、グレリンを受け取った摂食中枢が「食べろ」と信号を発信します。
そして食事が進むと、今度は体脂肪からレプチンというホルモンが分泌され満腹中枢に送られます。「グレリン」「レプチン」の2つのホルモンが動くことで、食欲はわいたり満たされたりするのです。
このメカニズムが発見されたのは1994年。まだ20年弱くらいしか経っていませんが、色々なことがわかってきました。
レプチンが発見されるまでは体脂肪は脂質の塊であり、なにも食べられない状況に陥った際の予備エネルギーとして体に貯蓄されているものだ、と認識されていました。脂質1gあたりのカロリー数は9カロリーで、体脂肪率20%の人であれば約10万8000kcalを自身の体に貯蓄していることになる。約50日間は食わずとも生きながらえることができる数値です。
ニセ食欲がわくのはなぜ?ニセ北欲の原因を解説!
ニセ食欲がわく原因① 肥満体だから
腹も減ってないのに食欲がわく「ニセ食欲」の原因の1つとして、体脂肪が多いことによる「レプチン抵抗性」があげられます。
食事がある程度すすむと体脂肪からレプチンが分泌され、満腹中枢を刺激し「もうそろそろいいっしょ?」というシグナルを出します。体脂肪から分泌されるわけだから、体脂肪率が高い人ほどレプチンは多く分泌されるはずです。
しかし、冷静に考えるとおかしな話です。体脂肪率が高いということは高カロリーな食事を大量にしてきたということ。レプチンが多く分泌されるなら、痩せている人より食欲に歯止めが早くききそうですが現実には逆です。
この矛盾はいまだに科学的に証明はされていませんが、一説には体脂肪から大量に分泌されたレプチンを脳の満腹中枢が正常に受け止め切れていないのではないかと言われています。体脂肪が増えても脳の大きさは変わらないですし、満腹中枢も大きくなりません。
したがって満腹中枢のレプチンの受容できるキャパを越してしまい、満腹中枢のはたらきを弱めているのではないかといわれています。つまり、満腹中枢がうまく動かないためにニセ食欲がわいている、ということです。
体脂肪を平均的なところまでに減量すれば、レプチンの分泌量も平均的な値になります。ニセ食欲も抑えれるでしょうが、ダイエット後すぐに消えるかと言えばそうではなくしばらくはニセ食欲はわくので、ニセ食欲を我慢する戦いをしばらく続けなければいけません。
ニセ食欲がわく原因② 薬物依存にも匹敵する「食べる楽しみ」
人間が他の動物と違うところの1つとして、食事を楽しむ感覚を持っていることです。
人間以外の多くの動物は味を楽しむためだけに食事をしません。明日生きるために食事をしています。味が気に入らないから食べ物の大半を食べずに捨てる、なんて行動もしません。
人間も本来は味を楽しむために食事をしていたのではなく、食べものからしか摂取できない栄養素の獲得のために食事をしていました。それが文明をもちはじめると「味を楽しむ」という感覚を覚え始めます。
古代の人間も他の動物と同じく、明日生きるための食事をしていたわけで餓死との戦いをしていたわけです。テレビでサバンナのライオンが数日間狩りが成功せず、何日間も食事ができずにいる、という場面をみたことあるでしょう。人間も狩猟生活を送っていた時代は同じような生活を送っていました。
いつ食事にありつけるかわからない。この事実は人類に食事を「娯楽」に結びつけました。こんな栄養豊富な食べ物が今度いつまた食えるかわからないから食えるだけ食っちゃえ!と脳が感じるようになったのです。
豊食の時代になったとしても、脳や体の機能は狩猟時代の人々とそう変わっていません。体に脂肪がたまるのがその証拠です。脂肪がたまるのは、いつ食事にあるつけるかわからなかった狩猟時代、なにも食べられずとも脂肪を分解して餓死を乗り越えるため。
その餓死対策のための脂肪貯蓄システムがいまだに残っているのです。餓死なんて無縁になった今の日本で脂肪は醜いものの象徴になりました。
少し話が脱線してしまいましたが、飢えと戦ってきた人類にとって食事は「生きる喜び」を与えてくれます。食事ができるということは餓死せずに済みますからね。脳は食べるごとに「餓死の心配なくなったわ~、よかった」って感じます。その喜びが多ければ多いほど、食事がやめられなくなります。
食事は一種の報酬です。自分で行動し、その行動のすえに食事にありつけるのですから。狩猟社会でいえば頑張って狩りをしてその成功報酬が食料です。現代社会であれば労働によって得た収入で得られる食事はまさに報酬です(女子風にいえば自分へのご褒美)
お腹がすいていなくてもこの報酬をよりほしいという欲求は生まれます。頑張って苦労して得たお金で食べたいものを食べてやる!その思考をずっと続けた結果、腹が減ってなくても食べたくなる。報酬をよりほしいと感じるからです。
この欲求こそがニセ食欲。これを理解し、我慢することが大事です。
まとめ
ニセ食欲がわく理由は2つ。体脂肪から分泌されるレプチンというホルモンと、満足感を得たいという心理的な理由です。
どちらかが正解なのではなく、どちらの要因もあるということです。ニセ食欲を我慢するのは人によっては大変でしょうが、所詮はニセなので5分も我慢すればやり過ごせます。
もし5分も我慢するのがきついのであれば食欲を忘れるようなことをすればOKです。個人的にオススメなのはスマホゲーです。スマホなのでいつでも携帯できますし手軽にあそぶことができるので5分気を紛らわせるには最適です。